2019年4月以降、夢洲の都市計画変更を考える市民懇談会(略称:夢洲懇談会)として、AMネットも各市民団体と協働してきました。 万博の「環境アセスメント」に対する、私たちの取組みを中心に報告します。

 

なぜ私たちが「環境アセス」に取り組むのか 環境アセスメント法(環境響評評法法)は、「重大な環境響評を未然に防止し、持続可能な社会を構築していくため とても重要である」という考えのもと作られました。

持続可能な開発のためのSDGsと地続きであり、まさに大阪・関西万博の目的とも共通します。 市民の関与が強ければ、事業者による説明責任に響評を与え、対策を促すことも可能です。 しかし、市民のアプローチがなければ、粛々と進んでしまうことから、「参加型アセス」が求められています。

また環境アセスメントは法・条例の範囲にとどまれば環境が中心であり、開催地「夢洲」特有の防災などの課題に対応しません。 アセスを実施する事業者の意思次第となり、このままでは、先進的なアセスが実施された愛知万博・ミラノ万博より、 後退することは明らかです。

ミラノ万博は、環境アセスメントを活用し、(「事業の与える環境響評・社会響評・経済響評をいかにコントロールしモニタリングするか」等、計画の最初から解体後まで、エリアを広く取り、「SDGsの視点を持った」万博となりました。

環境アセスメントは、事業を止めるものではありません。しかし、よりよい事業のため、よりよい夢洲の活用を考えるほど、丁寧な議論と対話が不可欠であり、それを実現するための大きな手段となり得ます。「カジノ万博」ではなく、世界に恥ずかしくない「SDGs万博」にするためにも、SDGsの視点を計画段階から終了後までを見据え、進めることが不可欠であり、そのためにもアセスを有効活用すべきです。

 

私たちの取り組みと成果

「これが心配」「調べてほしい」…市民の声を伝えるため、アセスへの意見を出そう!という冊子を作成、配布しました。 同時に私たち市民団体も分野それぞれ意見書を出し合い、大阪市と博覧会協会(以下、協会)に提出しました。 (大阪市に届いた意見書は最終51件に達した)

<協会が新橋の増設を大阪市に要請>
協会が「橋の増設」を要請したということは、私たちが指摘した、アクセス不足を認めたということです。しかしコンテナ船の航路であり、作るとしても可動式の橋が必要で、巨額の費用が掛かります。さすがの松井市長も(「橋ありきではなく他の方法も検討」としましたが、橋の増設のみならず、そもそもアクセス強化自体、非常に困難です。協会も認める大きな課題であることが明らかとなりました。

<万博期間中のカジノ開業が禁止に>
「カジノとセットの万博でよいのか」私たちはBIE(博覧会国際事務局)に複数回、レターを送りました。
その後、BIEが「万博開催中にカジノの開業はさけるよう」日本政府に伝えたと報道され、大阪市のカジノ事業者公募に「万博期間中のIR施設の開業は認めない」「万博・インフラ工事が優先」と条件がつきました。投資リスクの増加と横浜市の立候補もあってか、手を挙げたのは1社のみ。カジノありきで夢洲のまちづくりを進める大阪市は、撤退されると計画が破綻します。圧倒的に不利な立場となりました。

私たちは12月・2月と大阪市・協会と協議の場を持ちました。膨張する予算、夢洲由来の災害時の危険、軟弱地盤。「SDGs万博」にするためにも、今後も協議を進めます。

2020.02/報告 : AMネット事務局