TPPってどんなもの?

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TPP参加に向けた動きは、多くの反対の声があるにもかかわらず、ついに交渉参加へと歩み出しました。単なる貿易の枠組みを超えて社会全体に大きな影響を及ぼすとされるこのTPPの実像は、未だブラックボックスの中にあり、政府の情報公開もマスコミの報道も決して十分なものとは言えません。

TPPとは

TPPは英語で”Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement”と言いますが、日本語では公式な訳は定められておらず、一般に「環太平洋戦略的経済連携協定」と言います。

ヘンだよTPP

最初、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリの4カ国で2006年に発効しました。現在は米国、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーを加えた9カ国、さらに2012年にはカナダとメキシコが新たに交渉に加わり、そして2013年に日本も交渉参加を表明しました。 TPPはWTO(世界貿易機関)や他の自由貿易協定(FTA)などとは異なり、物品に関する全ての関税を例外なく撤廃することと、貿易のみならずあらゆる分野での規制緩和を強化することが原則で、農林漁業などの一次産業のみならず、金融、保険、労働、公共サービスなど、あらゆる分野に大きな影響を及ぼします。


TPPの影響

TPPは、農産物や工業製品などの関税撤廃をはじめ、教育や医療、通信、金融などサービス分野、さらに知的財産、投資、人の移動、検疫、公共事業の受注など様々な分野に及ぶ貿易障壁を無くすことを目的としています。24分野にもわたる広範囲な交渉を通じて徹底した自由化を目指すTPPは、単に貿易のあり方を変えるだけでなく、私たちの生活や社会全般に大きな影響を及ぼすものなのです。 関税の撤廃1つを取ってみても、食料自供率の低下を招くことは確実であり、1億人以上もの人口を抱える日本にとって、そのことは大きな問題です。また、海外の安い農産物を輸入する場合でも、世界的に食料価格の高騰が続いている現在、その食料価格をさらに押し上げ、経済的に弱い国の人々や貧困層の飢餓を助長することにつながってしまいます。

stopTPP

TPPによる広範囲な自由化の影響は、日本の医療制度の根幹である国民皆保険制度を揺るがせることになるとの指摘や、投資の自由化で大切な農地や森や水源などの資源が私有化され、切り売りされてしまうことの危険性も懸念されています。住民主権のもとで策定される法令や様々な計画が外資による投資の妨げにまると判断された場合には、税金から賠償金を支払わされることもあり得ます。さらに、地方自治体の公共事業にも外資の参入が増え、多言語対応の入札により調達コストが上昇するだけでなく、ますます地域経済が縮小するとの指摘もあります。このほかにも様々な規制が緩和、撤廃されることになるのがTPPです。
かつて小泉政権下でも推し進められた構造改革や規制緩和、それによってGDPは伸びたかも知れません。しかしその半面、私たちの生活はどうなったでしょうか、雇用の不安定化や格差の拡大など様々な歪みが社会に広がりました。そうした行き過ぎた自由化、規制緩和をさらに推し進めるものがTPPなのです。


TPPの本当の狙いは

実質的に日米自由貿易協定であるということは、米国にとって日本がTPPに参加しないと本来の目的は達成されないということになります。2011年のオバマ大統領の一般教書演説では、輸出拡大による雇用を創出し、2014年までに雇用を倍増すると述べています。

ヘンだよTPP

つまりGDPの大きい日本がTPPに参加しないと、米国の輸出増大に寄与しないということになります。米国は単に農産物の輸出だけで雇用拡大を狙っているのではなく、24もの交渉分野があるように、保険などのサービス分野や投資なども大きなターゲットになっています。もともと米国は日本に対して、日米構造協議(1989年)、年次改革要望書(1994年〜)を通して、大規模小売店舗法廃止、労働者派遣事業法の改正、郵政民営化などを求めてきた経緯があります。現在も日米経済調和対話として様々な要求をしており、TPPはその対日要求を実現させるための最大の手段です。自由貿易や自由経済の促進をお題目に進められているTPPは、実はアメリカを中心とした経済のブロック化への道筋に他なりません。


TPPの問題点

※ 行き過ぎた経済の自由化が、最貧国の最貧層に飢餓、欠乏、恐怖などの問題をもたらしてきただけではなく、富裕国においても社会を分断する深刻な格差の問題を引き起こしてきている。より一層、極端な経済の自由化を推し進めるTPPは、こういった地球上を覆う格差の問題をより深刻化させる。

※ 経済成長を最重視する政策が、地球温暖化をはじめとする環境問題を取り返しのつかないところまで推し進めてきている。さらに経済成長を加速させようとするTPPは、地球環境問題をより深刻化させる。

※ TPP交渉は原則非公開の密室で行われており、交渉過程が非常に非民主的であり、社会のあらゆる分野に影響が及ぶとされているにも関わらず、政府はきちんとした説明責任を果たしていない。

※ TPPの影響が及ぶ範囲に対するアセスメントが行われておらず、TPPの適否に関する判断基準が存在しない。

AMネットはTPPへの取り組みとして、2つのネットワークと協働で取り組んでいます。
●社会全体に大きな影響及ぼすTPP(環太平洋経済連携協定)に対して情報収集、情報発信を行うとともに、政府に情報公開や市民との意見交換会の実施を求める活動を推進しています。
ゆるやかな全国ネットワーク、「政府と市民のTPP意見交換会・全国実行委員会」事務局を務めています。
http://tpp-dialogue.blogspot.jp/
●地元大阪では「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」の賛同団体として活動しています。
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