チョコ1個100円のうち生産者に入るのはいくら?「フェアトレード」はなぜ必要?フェアトレード商品の見つけ方は? ジケイジ寺カフェで小吹岳志さん(日本フェアトレード・フォーラム理事・消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワーク幹事)にお話いただきました。

 

フェアトレード・クイズ Q.チョコ1個100円のうち生産者に入るのはいくら?(イギリスでの調査)

A.カカオの生産農家に入るのは「8円」 (3.9円という別のデータも!)
これは生産農場のオーナーに入る金額のため、その農場の労働者への金額はいくらになるのか、 生活できる金額なのか気になります。

Q.日本人一人当たりのフェアトレードラベル製品の購入金額は?

A.約90円(2017年度)
スイス8,546円、アイルランド8,338円、イギリス3,664円、ドイツ1,952円などと比べて、あまりにも少ない金額ですね。

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さらには、消費者に届くまでに(仲買人(組合)→輸出業者→輸入業者→チョコレート製造会社→販売店+販売国での税金等、多くの業者を経由します。 その分コストが上がりますが、チョコレート業界は、原料を安く抑えることで利益を上げてきています。このように生産者は「フェア」とは程遠い、不利な立場に置かれた取引が行われています。 また、貧困、児童労働、農薬の多用による健康被害、土壌汚染などの問題が生産国で引き起こされています。 その流れを根本的に変える手段の一つとして、「フェアトレード(オルタナティブトレード)」が広がったそうです。

フェアトレード商品の見つけ方 フェアトレードの認証団体は、大きなもので「Fairtrade(International(FI)」と 「世界フェアトレード連盟(WFTO)」があります。
FIはいわゆる「フェアトレード国際認証ラベル」を発行している団体で、生産地、流通過程において搾取や児童労働、 強制労働当等がないことなどチェックして、生産者の生活と権利を保証しています。
WFTOは、途上国の立場の弱い人びとの自立と生活環境の改善を目指す組織の連合体で、 公正な取引、児童労働や強制労働の排除、環境への配慮など、10の指針を守る義務があります。
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その他にも、各企業・団体が独自の基準で設定したフェアトレードや、NGOなどが販売している 何もラベルが貼られていないものもあります。例えば、すき屋、ジョリーパスタなどで知られる、 ゼンショーグループでは「ゼンショーフェアトレード」と記載しています。

独自基準で設定されているものは、第三者の審査を経ておらず、基準が認証団体よりもゆるいところもあれば、 不透明なところもあり、それぞれの信用に頼ることになります。
コーヒー豆の環境系の認証ラベルなど、フェアトレード以外の認証団体も多く、 売り上げに応じて生産国へ寄付をしている会社もあります。 どの場合も、商品パッケージにラベルや説明が明記されているので、よく見てみると新しい発見があるかもしれません。

学校教育とフェアトレード 日本国内でのフェアトレード認知率は年々上がってきていて、2019年の調査では32.8%(男 29.5%、女 36%)、年代別では、 10代が45.9%と大変高くなっています。
これは2007年以降、中学・高校の教科書にも掲載されているためです。 多くの高校生や大学生が企業やNGOと組んで、フェアトレードを使った商品を開発し発信しています。 世界的には、日本はまだまだ認知率も、流通量も最低レベルのようですが、30歳手前で「フェアトレード」 という言葉を意識し始めた私には、10代の学生たちの取り組みがとても新鮮で、頼もしく明るい兆しに思えます。

エシカル・オリンピックとフェアトレード・タウン ロンドンオリンピック・パラリンピック(2012年)以降、IOC国際オリンピック委員会では「持続可能性」を重視して、 環境や生物多様性に配慮した大会運営を開催国に強く求めています。 ロンドン・リオデジャネイロ(2016年開催地)は、ともにフェアトレード・タウンに認定されています。

フェアトレード・タウンとは、まちの行政、企業・商店、市民団体などが一体となってフェアトレードの輪を広げることで、 途上国の生産者の人たちの自立や環境の保護保全に貢献しようとする運動です。2000年にイギリスで誕生して以来、 今では世界30カ国に広がり、その数も約2,000に達しています。その中には、 ロンドンだけでなく、パリ、ローマ、ソウルといった首都も含まれています。

こういった大きな催しにフェアトレードを取り入れたことで、認知度が上がってきたとか。 2020年、東京ではどのような取り組みがされるのか楽しみです。

おわりに 小吹さんのお話は、悲しい現実もですが、現状から変えられるかも!?といった希望の持てるお話もたくさんあり、 全部をレポートできないことを残念に思います。また、お話の中で「フェアトレードは上から目線だ」という意見もあることを知りました。 SDGsやMDGs、エシカル消費、フェアトレード、呼び方や決め事の内容が違っていても、貧しいから「弱い」でも、 お金があるから「強い」でもない。作物や労働に対して公正な対法、敬意が払われる。国が違っても、 一人一人の人権や地球上の自然環境が守られる。そんな考えが当たり前になるようにと、込められた思いは同じだと思います。 私にできるのは小さい事ですが、これからも消費者としてできる選択をしていきたいと思います。

2020.02/報告 : 原田 智子
(NPO法人 AMネット)