公共サービスがあぶない〜TPP概況〜

『LIM第71号』(2014年05月発行)

公共サービスが危ない

TPP交渉の概況 5月20日シンガポールTPP閣僚会合では2月の閣僚会合と同様、交渉が進んでいるというだけの声明が発表されました。アピールだけではなく交渉が進んでいることは間違いありません。 ですが、今回5月閣僚会合ではカナダなど4か国の閣僚が欠席、次回の主交渉である主席交渉官会合の7月も「大筋合意は楽観的」と甘利大臣が述べ、大筋合意は困難だと思われます。 11月米国中間選挙を考慮すると合意するとすれば、7月又は来年年初が危険とみられます。

2006年交渉開始後も停滞していた日豪EPAが、突如4月に大筋合意し、TPP交渉にとって良い影響が出るといった報道が多くされました。 しかしこれは「聖域も自由化の対象になる」と日本政府自らカードを切り、国会決議を反故にしたと同じことです。TPPは「グローバルな貿易の新しい基準を設立する」としています。日豪EPAが最低ラインとなり、更に妥協を求められかねません。

4月のオバマ大統領の訪日では、日米共同声明で「尖閣諸島は日米安保の対象」という文言と引き換えに日本が関税で大幅に妥協し、関税交渉に弾みがついたという憶測もでています。実際に、今回の会合で米国以外とも積極的に関税交渉をしており、どこまで妥協することになるのか危ぶまれるところです。

知的財産権、国有企業、環境など難航分野も残っています。油断は禁物ですが漂流する可能性も高いとみられ、ここまで難航するのも、世界中の市民が反対した成果です。これまでも「異常な秘密交渉」とされたTPPは、NZのケルシー教授によると「いつどこで会合が行われるのかさえ見いだすのが極度に困難になっている」と秘密主義への批判も高まっています。

 

公共サービスをねらうもう一つの秘密交渉 TPPに限らず、多国籍大企業にとって都合の良い協定の交渉は加速しています。TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)いわばTPPのEU・米国版が2月に交渉開始、日EU EPAは2015年度中の実質合意をめざし、日中韓投資協定が5/17発効、という中、PSI(国際公務労連)がTiSAの危険性を訴えるレポートを出しました。

TiSA(新サービス貿易協定; Trade in Services Agreement)は、WTO(国際貿易機関)とは別に、サービス貿易に関する初めての多国間協定として、日,米,EUをはじめとする約50か国で、2013年に交渉が始まりました。
サービス貿易は、国境を超えるサービス全てに適応される非常に広範な分野です。観光などの人の移動から、金融サービス、電気通信、電子商取引、輸送、建設、教育、エネルギーから水道などの公共サービスまで含まれます。この分野は先進国のGDPの6割を超え、今も拡大しています。

 

TiSAの何が問題なのか PSI特別レポート「TiSAと公共サービス」によると、まだ存在していないサービスまで自動的に対象となり、発効日から5年間機密扱いにされるというTPP以上の秘密交渉であること。現行のサービス自由化を固定化し、公的独占事業の新設を禁止(スタンドスティル条項)、いったん自由化したサービスを固定化(ラチェット条項)することで、自由化した公共サービスを再公営化することが事実上不可能となります。

現在、世界中で民営化に失敗した水道やエネルギー事業の再公営化が進んでいます。しかし、民営化の後に失敗したとわかっても、TPPやTiSA発効後は、公共サービスに実質的に戻れないことになります。

 

情報公開・私たちの動き 3/8に「ほんまにええの?TPP大阪ネットワーク」が設立、AMネットも賛同加入しました。これはJA大阪中央会など大阪の28団体が「国会決議順守と国民への説明責任を果たす」ことを目的に、つながりました。

「市民と政府のTPP意見交換会・全国実行委員会」による「TPPに関する情報公開とパブリック・コメントおよび市民向けの説明会の開催を求める政府への要請」は93団体(構成員300万人)、個人2989筆を頂くことができ、4/25内閣官房に提出しました。そんな中、突如、都道府県主催であれば政府交渉担当者が説明すると、3/25北海道を皮切りに4都道府県で説明会が開催されました。大阪府での開催に向け、大阪ネットワークと協力しています。

AMネットではTPPなどへの問題提起だけでなく、次の社会を見据えた学びも始まっています。 ぜひご参加ください!

2014.05/報告 : 武田 かおり
(NPO法人 AMネット)

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