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Bolivia


ボリビアでは都市人口が1970年代後半から2倍に増加しており、十分な水と下水設備を提供することが大きな課題となっている。

ボリビアでの経験を教訓とするために、「業務監査局」(Operation Evaluation Department )は、近年、「国際開発協会」(International Development Association )から資金を得ている「主都市における水と下水道開発計画」(1990−97)(Major Cities Water and Sewerage Rehabilitation Project)下にあった3都市における水の供給能力を査定した。

ボリビアの都市人口の60%以上が3都市ラパスとエル・アルト、サンタクルーズ、そしてコチャバンバ(La Paz/El Alto, Santa Cruz de la Sierra, and Cochabamba)に集中していることもあり、このプロジェクトは水セクターにおける改革を準備、計画するための技術援助、そして先行する三つのプロジェクトでの経験を活かす事を主眼においていた。

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プロジェクトの主要目的

「主都市における水資源供給と下水設備プロジェクト」(Major Cities Water Supply and Sanitation Project)の主旨は全ての人々に最も効率的にサービスを提供することと、持続性の基礎を築くことである。焦点が当てられたのは、システムの拡大、施行と管理の改善、よりよい政策と規制を通じての急速なセクターの発展、そしてよりよい国家レベルでの協調体制の分野である。

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水資源に関しての三都市のこれまでの経緯

サンタ・クルーズはプロジェクト下において計画されていた以上の実績をあげているのに対して、ラパス、コチャバンバにおいては計画の実施は難問に直面した。両都市では計画は2年以上の遅れをみせており、市長と実質的な計画履行を担当しているマネージャーによる政治的干渉が、料金と契約における政策決定を妨げていた。

これらの問題は、大統領が両都市における水道と下水施設の民営化、中央銀行に対する1997年までの2年間の債務返済の延期を決定したときに現れてきた。民営化がラパスにおいてはよい影響をもららしたのに対し、政治的干渉が続くコチャバンバにおいてはよい結果はでなかった。

国全体でみると、飲料用水利用可能な都市部居住者の割合は1998年までに26%から76%、下水施設に関しては30%から32%に上昇している。これらの水資源の高い供給率の上昇と下水施設の拡大は、1977年から1999年にかけて幼児死亡率が1000人あたり158人から66人に急激に減少した事実を裏打ちしている。同じ時期に、5歳以下の幼児死亡率は1000人あたり180人から96人へと減少している。

1988年から1999年にかけて、ラパスとサンタクルーズでは水資源の供給率は増加しているのに対して、コチャバンバでは減少している。

しかしながら、Pampahasi-Ovejuyoパイプラインがラパス南部の192,000人に水へのアクセスを造りだしたのに代表されるように、国全体としては416,200人が水資源へのアクセスを得た。よって、ラパスでは水資源にアクセスできる世帯率は75%から92%にあがり、さらにサンタクルーズでは70%から95%と急増した。

しかし、逆にコチャバンバでは世帯数で計ったアクセス率は70%から60%へと減少し、予定されていた300,000人のうち47,520人にしか新たな水資源は提供できなかった。コチャバンバでは一日あたり4時間の利用でさえ不確かなのに対して、サンタクルーズでは24時間体制で水が使えるし、ラパスでも一日あたり19時間から22.5時間へと増加している。

下水処理は、下水施設と下水管の各家庭へのコネクションが改善されている場所でさえ、依然として大きな課題である。ラパスでは下水道につながっている世帯率は50%から60%へとあがったが、下水設備の普及率は0%から15%にあがったにすぎず満足のいく状況ではない。

サンタクルーズでは下水道へのアクセスと下水設備の利用率は30%以上の増加をみせ、40%と48%までそれぞれ上昇している。一方コチャバンバでは下水処理率は80%に達している一方で、世帯の下水へのコネクション率は10%ほど下がり53%となった。

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三都市間での大きな結果の違いは何故生まれたのか?

3都市における効用性の大きな違いは、水セクターにおける制度的発展の複雑さを物語っている。ボリビアにおいて、民営化は万能薬ではなかった。民営化は、都市管理が健全でなく、経営能力が欠落している場所においては経済的・社会的なリスクをともなった。

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消費者組合を中心に協調性のあるモデルを提示したサンタクルーズ

サンタクルーズでの水道事業は消費者組合が請け負っている。この組合は20年以上も都市の一部として機能しており、ラテンアメリカで最も良い経営体質の事業の一つとしての評価を保っている。トップ経営層を任命する立場にある「代表総会」(General Delegate Assembly)に管理されているので、組合の条例に対して経営評議会の決定を上回る形で監査人による拒否権を設けており、そのことが安定性に寄与している。

評議会と総支配人(OEDによる16年間の査定の間ずっとこのポジションを占めている人物)は、実質的に汚職を排除してきた効率的で透明な行政に誇りをもっている。世銀からの2つの融資の受領者である組合は、スタッフを助け訓練するための技術援助に支えられた効率的な実施と経営を通じて、その融資をかなり有利に用いている。

組合は、以前は元来の期限までに全てのプロジェクト投資を実施するための融資の又貸しを受けているレベルでしかなかったが、延長された期限までにより大きなプログラムを実施するために十分な世銀からの追加融資へのアクセスも得ている。組合の業績は印象的であったが、その長期的な持続性はサンタクルーズの継続的な成長と、帯水層を守るための水汚染の減少の度合いによって試されなければならない。

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市営から民間業者に移行したラパスとエル・アルト

隣接する市であるラパスとエル・アルトは新しい水利権体制を設けた最初の都市である。この水利権を告げる文書は、1997年4月に発行され、7月に契約が成立した。この水利権における迅速さと実施の成功にはいくつかの特徴があった。

まず第一に、取捨選択の過程が単純で迅速であった。つまり非常に貧しいエル・アルトにおいて最大の新規コネクションを申し入れた入札者が契約を成立させた。

次に、最初の五年間での料金が契約内で明記され、USドルで請求され、供給者のリスクを軽減するため毎月通常レートでボリビアノに交換された。

第三に、水利権以前の料金は、契約者の契約承認に先立って平均35%増加させられた。この増加の結果として、約三分の一の消費者が料金を減額されたことになった。

第四に、官営からアグアス・デ・イリマニ(Aguas de Illimani)への民営化の過程で、全ての公的セクターの雇用者は保持されていた。

これが、期間を通じて徐々に減少していくことにより、十分に高い生産性、効率性、そしてサービスを実現した。これらの成功にもかかわらず、ラパスは依然として下水設備の深刻な問題に直面している。

高率の料金は、一人当たりの利用量を一日あたり110リットルから87リットルへと減少させた。収入が減少したので、水利権所有者は水資源利用を促進するキャンペーンを検討している。

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民営化に失敗したコチャバンバ

コチャバンバにおいてはプロジェクト実施下において、そのサブプロジェクトと水資源の効用性は大きな困難に直面した。元来の目的は、四つの深い井戸を掘り、既存の供給施設を修復することによって、当地域における厳しい水資源の配給状況を改善することにあった。フランスとの二国間援助が、地下水研究と掘削技術にあてられる予定であり、世銀の援助は、既存の供給設備の修復にあてられる予定だった。

しかし、新しい井戸の掘削が、地下水の減少につながり、灌漑施設の利用を危機に陥れるのではという危惧を抱いた農民の反対により、新しい井戸は掘削されなかった。

同時に、世銀に支援されたプロジェクトは水漏れしているバイプラインの交換を対象とはしていなかったため、コチャバンバでの水漏洩率は依然として40%と高かった。引き続く安全でない水の提供にともない、配給は高い料金に対する消費者の抵抗を激化させた。

コチャバンバの水道事業は、1997年なかばに市営から国営に変わった。民営化は、世銀の援助で築30年のコラーニ(Corani)水力発電用貯水池から水を引いてくることを前提とした契約に基づいていた。

代替案としてミシィクーニ(Misicuni)貯水池を使用することも考慮されたが、費用がコラーニプロジェクトの7000万ドルの2.5倍以上かかるということと、起動するまでにコラーニプロジェクトの二倍、つまり5〜7年、を必要とすることから世銀に反対された。

その後、1997年後半に入札過程は無効であるという判決が、市営から国営への移行に反対するコチャバンバ市当局によってまとめられた法的抗議への対処として、最高裁によってなされた。1997年12月、IDAのクレジットが満了、つまり世銀融資の使用が不可能となった。

後に、コラーニプロジェクトにおける将来の供給見通しに反対していた市と地域の利益団体連合は、費用はよりかかるもののより多くの水を供給できる代替案であるミシクーニプロジェクトを推し進めた。この契約の中では、ミシクーニ流域からコチャバンバへ水を供給するためのトンネルを建設することが合意された。

このミシクーニ地域からの集水とコチャバンバでの供給と分配プロジェクトには民間の業者と契約を結ぶ努力もなされたが、入札者はでてこなかった。これは、おそらく以前のプロジェクトにおいて民間業者の誘致に失敗したことがひびいていると思われる。

結局、Aguas del Tunari 借款団が望まないながらも入札し、ミシクーニプロジェクトにおける水の集水とマネージメントに関する権利を交渉、1999年9月にSuperintendencia と共に40年間契約にサインした。

ミシクーニプロジェクトの膨大な費用を賄うため、料金は即座に38%引き上げられ、その後もさらに20%引き上げられることになった。

その代わり、Aguas del Tunari は契約後5年間で8500万ドルを供給・分配システムに投資し、残りの期間に1.29臆ドルを追加投資した。これにより、二年目以降24時間体制での水道サービスが可能となり、また市の水道事業の借金返済にも寄与することとなった。

1999年11月、Aguas del Tunari は市の水道事業を引き継ぎ、続く1月1日、料金を平均35%引き上げた。消費者の立場からすると、この引継ぎは、昔同様質の悪いサービスにより高い料金を支払わなければならなくなったにすぎない。

国の水に関する立法と、料金の上昇に反対する動きが急速にうまれ、暴動が突発し、他の町へと広がった。この危険で退廃した状況に対して、政府は料金の値下げと契約の取り消しを行わねばならかった。市の水道事業は計画を再び練っているが、その成果はまだ満足するには至っていない。

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三都市の事例から得られた教訓

民営化は万能薬ではない。地域環境に見合った実用的なアプローチは、効果的な制度の発展にと共にあるべきである。

民営化によって水道事業が、誤ったプロジェクト選択、政治的干渉、貧弱な経営力、または当該コミュニティーの支援不足といった事柄と切り離されることはない。ボリビアでの経験によって、適切な協力体制をいかに築いていくかが、水道事業経営を公共が行うか民営化するかといった問題よりも重要であることが明らかになった。

失敗したコチャバンバの事例が示しているように、水セクターにおける民間企業の参加が、存続可能なレベルで公共事業の代替的存在となるためには、目に見えた利益がなければならない。コチャバンバでは、サービスの質が高まる以前に料金が引き上げられたことによって暴動がおき、引き続いて利権契約が破棄される結果になった。

セクター改革を持続するためには、長期間にわたるサポートが不可欠である。ボリビアは、水供給および公衆衛生法(Water Supply and Sanitation Law)およびSuperintendencia de Saneamiento Basicoを採用することで大きな一歩を踏み出した。

しかしながら、水と下水道サービスへのアクセスにおいて、都市貧困層の大部分に対しての結果はまだでていない。コロンビア、ペルー同様、ボリビアのケースにおいても、単なる法律の制定や規則の設置だけでは全ての人々に効率的なサービスを保証するには十分でないことが明らかにされている。

制度の変革、水道事業経営の強化、大衆参加を通じてコミュニィティー内での改革を根付けるためには長期間にわたる関与が不可欠である。

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