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FTAセミナー第2弾

 ◎◎豚丼のブタはどこから来るの!?◎◎
        〜日墨FTA交渉合意、何が起こるのか?〜


講師 川口昭平さん
(FTA等対策協議会、日本養豚協会)

             
2004年4月3日(土)
14時〜17時


会場 ひと・まち交流館京都 
3階第4会議室
参加費 500円


主催   AMネット・京都自由学校
連絡先 uodaira@nifty.com  090-3874-6750(松平) 


 WTO(世界貿易機関)カンクン会議決裂後、急速に世界で交渉が活発化するFTA(自由貿易協定)。3月12日、日本とメキシコのFTA締結に向けた交渉が基本合意に達しました。
農畜産物では、約300の品目で関税撤廃や低・無関税の輸入枠が設けられ、交渉の大きな焦点となっていた豚肉・オレンジ果汁についても実質譲歩の合意で終わっています。

 BSEや鳥インフルエンザの発生で世界の畜産を取り囲む状況は大きく変容する中で決まった豚肉のさらなる自由化。マスメディアでは食や食肉の安全性が繰り返し流れています。

しかし流行している豚丼のブタのほとんどが輸入モノ、という実情やFTA交渉の内容等はほとんど報道されません。(下記日本の養豚、豚肉参照) 

今回は昨年からFTAを憂慮し活発に活動されてきたFTA等対策協議会事務局の川口昭平さん(全国養豚協会)を招き、今後の農業、畜産そしてグローバリゼーションについて広い分野の方々を交えて考えるきっかけにしたいと考えています。

関西では初めての講演になります。是非の御参加お待ちしています!
聞いてトクするお話です!


ひと・まち交流館京都へのアクセス
    
京都市下京区西木屋町通上ノ口上る(河原町五条下る東側)    
TEL 075-354-8711   http://www.hitomachi-kyoto.jp/     



日本の養豚、日本の豚肉    
〜消費者の皆さんに国内養豚の事情をご理解いただくために〜


○現在、日本の豚肉自給率は55%です。  

政府は食料自給率の向上を国の責務として、平成22年度に現在41%まで落ちている自給率(摂取カロリーベース)を45%にまで上げる目標を平成12年3月に閣議決定しました。
このなかで、豚肉については、当時61%だった数量ベースの自給率を73%まで向上させることを組み込みました。
しかし、その後も自給率低下の傾向に歯止めはかからず、14年度は55%にまで落ちています。


○自由化は牛肉に先駆けること20年

  豚肉の輸入自由化は、牛肉に先駆けること20年、昭和46年に実施されました。
自由化にあたっては、国内保護の一定の緩和策が講じられましたが、実態としては安い輸入豚肉がいくらでも入ってくる状況で、国産豚肉は、国内マーケットにおいて輸入豚肉との価格競争にさらされました。


○豚肉の卸売価格は、過去20年間に42%ダウン

 輸入豚肉との競合の結果、徐々に国内卸売価格は低下し、この20年間で42%の大幅な価格ダウンを記録しています。
生産現場は、こうした相場環境に見合った生産性の向上・低コスト生産が求められ、養豚農家は終わりのない構造改革を迫られ、相場下落に耐えられない農家はどんどんと廃業を余儀なくされていきました。


○昭和30年代には100万戸農家が、現在9430戸

  豚肉輸入量の増加、それに伴う国内卸売相場の低迷に促された生産構造の改革の結果、昭和36〜37年に100万戸、輸入自由化の年にも約40万戸存在した農家は、激減の一途をたどりました。
ある程度の合理化・集約生産が進んだ段階で、国内飼養頭数が1186万6000頭でピークに達した平成元年で約5万戸の農家が存在しましたが、その後もガット・ウルグアイラウンドでより急激な市場開放が進み、平成15年2月1日現在の農家戸数はわずかに9430戸を数えるばかりとなっています。


○多くの消費者の支持に応え、安全で安心な豚肉づくりへ

  スーパーの店頭でも、価格の安い輸入豚肉が幅をきかせてきているのが実態ですが、多くの消費者が、アンケートなどで回答する場合は国産豚肉に高い支持を寄せています。
品質もさることながら、良い肉をより低価格で供給する必要があることを示唆していると思われます。さらに、安全で安心して召し上がっていただける豚肉の供給を目指して、農場におけるHACCP手法を用いた衛生管理や、農場から食卓まで、トレーサビリティの確立を目指した取り組みも各地で始まっています。



○国内に豚が存在する意義に今一度思いを

  生産の効率化を輸入豚肉の攻勢に押されつつ進めてきた国内養豚ですが、“豚”という生き物を扱う畜産は、どこまで行っても工業製品のような生産の合理化は不可能です。
私たち生産者は、人類の長い歴史のなかで繁殖性や肥育効率の遺伝改良が進んだ豚という産業動物に日々感謝しつつ生計を立てているのです。
生産地と消費地が乖離しすぎた反省から、“地産地消”への関心が高まっており、単に食肉の提供にとどまらない畜産、そしてより広くは農業が国内で存在することの意義が、見直されています。