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セミナー
「貿易自由化の環境影響評価制度の確立に向けて」
企画趣旨



 現在、世界貿易機関(WTO)では各分野ごとに貿易交渉が進められており、また別途、ASEAN、メキシコ、韓国などとの自由貿易協定、ベトナムとの投資協定に関する議論、ASEMでの専門家による作業部会設置による経済連携の検討など複数国間、二国間での貿易・投資協定の策定への動きが進められています。

 こうした貿易と投資の自由化(関税の引き下げ、非関税障壁の撤廃や緩和措置)を通じた、経済活動の拡大によって、森林、土壌、河川と海、気候、生物などを含めた生態系の劣化・破壊や、自然浄化能力を越える排出物質の発生、また未成熟な技術の性急な商業利用や動植物の人為的移動による生態系への不可逆的影響も引き起こされており、無思慮な貿易・投資自由化の推進が、地球環境と地域環境を悪化させ得ることは、近年、理論的にも実証的にも、多くの研究者や国際機関、政府等も認めるところとなってきています。

 しかし、現在の貿易交渉や自由貿易化の議論は、経済利害の議論に終始しており、これらの貿易・投資の自由化が、地域レベルの環境や社会、地球レベルの環境に、どのような影響を与えるのかについて何ら検討されておりません。

 一方、米国、カナダ、EUにおいては「不十分」との指摘はあるものの、貿易・投資協定に伴う環境影響評価(米国では、貿易協定に関する環境影響評価の手続きとして大統領命令第 13141号「貿易協定に関する環境レビュー」、ECにおいては、WTO交渉への提案に関する持続可能性影響評価http://EUropa.EU.int/comm/trade/miti/envir/siamet.htm )が実施されており、貿易・投資の自由化に伴う環境面での影響を吟味し、これに配慮するためのプロセスが存在しています。

また、国連環境計画(UNEP)や経済協力開発機構(OECD)においても貿易政策に関する環境アセスメント手法の検討が行われています。さらに、この制度について先般のヨハネスブルグ・サミットでも「実施計画文書」の中で明記されるところとなりました。

 しかし、こうした手続きは日本には未だ存在しておりません。私たちの働きかけによって、99年の第三回シアトルWTO後に、環境省での「検討会」がスタートし、また、林野庁貿易対策室では林産物に関する政策研究が実施されているに過ぎず、貿易と投資の自由化に伴う国内外での社会・環境的影響を考慮することなく、貿易・投資協定の交渉が進められているのが現状です。

 環境基本法(93年11月19日公布)第十九条では、国の施策の策定等に当たっての配慮として、「国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない」と定めています。よって、この規定に基づき、貿易自由化協定、投資自由化協定の署名あるいは批准の段階での判断のために、交渉及び協議の段階において、事前に環境影響評価を実施する必要があると考えています。

 このような貿易に関する環境影響評価についての必要性については、一定の支持をいただいていますが、実際、それらのアセスメントが「どのようなものか?」「どのような意義があるのか?」「どのように実施されるのか?」という点については、まだまだ日本では知られていません。そこで、今回、広く、貿易自由化の環境影響評価制度の内容と意義について知っていただく機会を提供したいと考え、このセミナーを企画しました。 是非とも、ご協力をお願いしたいと思います。


セミナー「貿易自由化の環境影響評価制度の確立に向けて」
日 時 10月末(当面31日を予定)午後
場 所 衆議院議員会館内
内 容 貿易協定の環境アセスメントを導入している米国から専門家(Scott Vaughanさん)を招待し、この制度の紹介、説明を行うものです。
対象者 ご関心のある国会議員の方々、貿易・投資協定交渉等に携わる省庁等の担当者の方々
発題者 Mr.Scott Vaughan (スコット・ボーヘン)さん
連絡先 川上豊幸 AMネット 06-4800-0888(事務所FAX兼)
toyo_kawakami@hotmail.com
 このプログラムは、「AMネット」、「FOEJ」、「熱帯林行動ネットワーク」などの森林問題に関わる日本のNGOと米国NGOのPacific Environmentとの日米NGOによる共同事業として準備しているものです。


■当日のプログラム(予定) 1時間程度
開会のあいさつ(主催者による趣旨説明) 5分
参加者の自己紹介など 5分
講演者によるプレゼンテーション(逐次通訳付き) 30分
質疑・応答 15分
閉会のあいさつ 5分

■講演者のプロフィール

 スコット・ボーヘン
(Scott Vaughan)さん
●経  歴  1995年から98年までWTOの貿易と環境委員会(CTE)のコンサルタントとしてジュネーブに勤務。NAFTAによる影響についてCarnegie Endowment's Trade, Equity, and Development Projectに参加。

環境協力北アメリカ委員会
(the North American Commission for Environmental Cooperation)に勤務、環境商品とサービスの貿易を促進する貿易自由化政策の環境影響評価を行っていたこともある。

93年から95年までは国連環境計画(UNEP)で環境、貿易、金融部門のコーディネータとして働き、UNEPの事務局長向けの政策アナリストとしても働いていた。
●学業履歴  B.A., Mount Allison University (Canada)を卒業、MM.Sc., London School of Economics、M.Phil.,University of Edinburgh (UK)、; M.A., Dalhousie University (Canada)からそれぞれ修士号を取得。
●関連する執筆論文 "Assessing the Environmental Effects of Free Trade," in Linking Trade, Environment and Social Cohesion (University of Toronto Press, 2002) (「自由貿易の環境影響を評価する」、『貿易、環境、社会的結合』)

"Reforming Environmental Policy: Harmonisation and the Limitation of Diverging Environmental Policies" in Globalisation Under Threat (Edward Elgar Press, 2002);(「環境政策を転換することの限界」『脅威の下にあるグローバリゼーション』)

"Climate Change and North American Energy Policy," in Canadian Energy Policy and Climate Change (Carlton University Press, forthcoming) North America's electricity sector.(「気候変動と北アメリカのエネルギー政策」『カナダのエネルギー政策と気候変動』(未刊行))
 このプログラムは、「AMネット」、「FOEJ」、「熱帯林行動ネットワーク」などの森林問題に関わる日本のNGOと米国NGOのPacific Environmentとの日米NGOによる共同事業として準備しているものです。




日米NGO共同プロジェクト The Japan-US Timber Coalition

「貿易・投資自由化の環境影響評価制度の確立に向けて」

〜Towards Establishment of EIA on trade and investment liberalization〜


■日 時

 10月31日午後を予定
 現在、世界貿易機関(WTO)では各分野ごとに貿易交渉が進められると同時に、アセアン(ASEAN)、メキシコ、韓国などとの自由貿易協定やベトナムとの投資協定策定のための検討会合が進められ、またアジアと欧州との経済協力の枠組みであるASEMでも経済連携の検討が決定され、複数国間、二国間での貿易・投資協定の策定への動きが急速に進もうとしています。

 こうした貿易と投資の自由化(関税の引き下げ、非関税障壁の撤廃や緩和措置)を通じた、経済活動の拡大によって、生態系の劣化・破壊、環境悪化の加速が引き起こされており、無思慮な貿易・投資自由化の推進が地球環境と地域環境を悪化させ得ることは、近年、理論的にも実証的にも、多くの研究者や国際機関、政府等も認めるところとなってきています。

 しかし、現在の貿易交渉や自由貿易化の議論は、経済利害の議論に終始しており、これらの貿易や投資の自由化が環境や社会に、どのような影響を与えるのかについて何ら検討されておりません。

 一方、米国、カナダ、EUにおいては貿易・投資協定に伴う環境影響評価が実施されており、貿易・投資の自由化に伴う環境面での影響を吟味し、これに配慮するプロセスが存在しています。

 また、国連環境計画(UNEP)や経済協力開発機構(OECD)においても、長らく貿易政策に関する環境アセスメント手法の検討やアセスメントの実施が行われています。さらに、この制度については、先般のヨハネスブルグ・サミットでも「実施計画文書」の中で明記されるところとなりました。

 しかし、日本には、このような制度は、未だ存在しません。環境基本法(93年11月19日公布)第十九条では、国の施策の策定等に当たっての配慮として、「国は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全について配慮しなければならない」と定められていますが、貿易と投資の自由化に伴う国内外での社会・環境的影響も考慮することなく、貿易・投資協定の交渉が進められているのが現状です。

 今回、これらの貿易自由化の環境影響評価が「どのようなものか?」「どのような意義があるのか?」「どのように実施されるのか?」という点について、その内容と意義について広く知っていただく機会を提供したいと思います。是非、ご参加ください。
■場 所

 衆議院議員会館内
■参加費

 無 料
■発題者

 Mr.Scott Vaughan
 (スコット・ボーヘン)
 さん
■内 容

 貿易協定の環境アセスメ
 ントを導入している米国
 での専門家を招待し、制
 度の紹介、説明を行いま
 す。
 連絡先  AMネット  

 担 当  川上

TEL&FAX
06−4800−0888
E-mail
apec-ngo@mxa.mesh.ne.jp
http://www1.mesh.ne.jp/~apec-ngo

FOEJ 担当:岡崎
TEL 
03−3955−2617
E-mail
okazaki@foejapan.org
http://www.foejapan.org