------ 水に学び、水と生きる ----- 「21世紀の川とのつき合い方」 だれのためのダムなの? ダムを拒否する側、ダムと生きる側 2002年1月26日(土) 10:30〜16:00 同志社大学 今出川キャンパス 講武館 1階104教室にて AMネット・世界水フォーラム市民ネットワーク 同志社大学大学院総合政策科学研究科 共催 |
私たちは昔から川と共に暮らしてきました。川と喧嘩した結果、負 けたときは洪水に見舞われ、勝つために堤防を築いたりしてきまし た。しかし川はその徒労をあざ笑うかのようにさらなる洪水というしっぺ返しをもたらしてきました。いつも喧嘩ばかりしてきたわけでは ありません。農業用水、飲料水として利用し、時には川のほとりに 佇み、やすらぎを川と分かち合ってきました。近代に入り、私たちは川に勝つために新しくダムをつくるということを考え出しました。水を コントロールした結果、下流の都市へ電力、飲料水を安定的に供給 できるようになりました。一見、川を克服できたかのように見えました が、昨年の名古屋での大洪水に象徴されるように、もう一度川とのつき合い方、水との関わり方を考え直す時期に来ています。
近代河川技術が進展した現代、川と人との関わりの再考を提唱する宮村忠さんに基調講演を、ダムを拒否した村・木頭村の藤田元村長とダムを受け入れた村・川上村の大谷村長、そして国土交通省近畿地方整備局の方、という多彩なメンバーをお迎えして「21世紀の川との付き合い方」について考えます。
■日時:2002年1月26日(土) 10:30〜16:00
■場所:同志社大学 今出川キャンパス 講武館 1階105教室にて
(京都・地下鉄今出川駅下車すぐ)
10:30 基調講演 宮村 忠さん (関東学院大学工学部教授)
13:00 パネルディスカッション
藤田 恵さん (徳島県木頭村元村長)〜ダムを拒否した村の元村長
大谷 一二さん (奈良県川上村村長)〜ダムを受け入れた村の現村長
水野 雅光さん(国土交通省近畿地方整備局河川部河川調査官)
■資料代:一般=1000円、学生=500円、
AMネット・世界水フォーラム市民ネットワーク会員=無料
※なお、10時より特定非営利活動(NPO)法人 世界水フォーラム市民ネットワーク 臨時総会を開催いたします。どなたでもご自由にご出席ください。
■お問い合わせ
●APECモニターNGOネットワーク(AMネット)事務局
TEL&FAX:06-4800-0888
(火、金曜日 午後13時〜17時)
メールアドレス:apec-ngo@mxa.mesh.ne.jp
URL:http://www1.mesh.ne.jp/~apec-ngo
●世界水フォーラム市民ネットワーク(People’s Forum on Water)事務局
TEL&FAX:075-381-7848
(月、水、金曜日 午後13〜17時)
メールアドレス:water_ngo@yahoo.co.jp
■講演者紹介
●宮村 忠さん
1939(昭和14)年、東京は深川生まれ。隅田川に親しんで育つ。 関東学院大学工学部土木工学科教授。専門は河川工学。学生とともに川を歩き回っている。著書に、「水害−治水と水防の知恵」(中公新書)、「東京湾をあるこう」(筑摩書房)、「くらしに生きる川」(農文協)、「相模川物語」(神奈川新聞)。共著に「隅田川の歴史」(かのう書房)「今昔四季 隅田川」(講談社)ほか
『もともと人間は、川とうまくつき合うことによって、川から、人間の 生活の舞台を生み出してきました。川を含めた自然条件が人文条件を規定し、それが社会経済条件を方向付けてきた。それぞれ 違う川が個性ある地域をつくりだしていたんです。しかし、高度経済成長期、日本全国みな同じにしてしまう発想が台頭する。町づく りから川を規定するようになる。…地域の住民にとっても、行政の 側にとっても、川は単なる「施設」でしかなくなってしまった。…』(オルタvol.3 1992冬号より) 水害との闘い、日常的な河川との 触れ合いが各地の水防の知恵を考案、伝承させてきた。川と、 自然と私たちが共存していくには、その地域の人間関係そのものを取り戻す必要がある、と提唱する。
●藤田 恵さん
徳島県の南西部に位置し高知県と接する木頭(きとう)村の元村長。村内の中央を流れる清流・那賀川に国と県の細川内(ほそごうち) ダム建設計画が表面化した直後の1971年から、木頭村住民がダ ム反対運動を開始。木頭村出身の藤田さんは93年から村長を務 め、「ダムに頼らない村おこし」をリードしてきた。それまで木頭村も他の過疎の村と同様に国や県からの地方交付税や補助金といった収入に頼っていたが、反対の意思を強めた93年以降、周辺市町村で倍増している県発注の公共事業費が逆に減ったという。
『林業・農業の衰退によって、建設業への従事者割合が増え、公共事業をはじめとする工事や観光開発への期待が強いのも事実』としながら、『将来に渡って日本の基礎をしっかりさせるためには 農業と林業をしっかりと立て直す必要がある』と訴える。『農林業の展望が見えない現在ではありますが、山村住民が、都会暮らしと同じような利便さや高収入は期待できなくても、美しい自然とともに暮らすことに誇りをもつことも、大切だと思います。』ダム建設計画は97年に一時休止になっている。ダム反対運動の軌跡などをつづった「ゆずの里 村長奮戦記」(悠飛社)を出版、地元で採れる山の湧水や無農薬のユズなど特産品売り出してい く事業活動や、山村留学制度や農作業ボランティアなど、村民の 誇りを育てる啓蒙的活動を行っている。
●大谷一二さん
奈良県 吉野郡の吉野川(紀の川)源流に位置する川上村の村長。
山々に囲まれた川上村の東西を貫く吉野川はホタルから鮎・あまご、そして、鹿や猪にいたるまで生き物も賑わう。吉野杉は日本三大美林のひとつであり、吉野林業が室町時代に始まった地といわれる川上村は、いわば林業のふるさと。
近年は、過疎と林業不振に悩みながらも吉野川(紀の川)の源流の村としての役割を果たすために、何が必要かを考え、「木工の里」や「ホテル杉の湯」を核に 観光立村を目指す。また大滝ダムを契機に、“樹と水と人の共生”をテーマとして新しい村づくりを展開。『荘厳な山、清楚な川、純朴な樹、そして川上の人々−歴史ある吉野林業の振興と保全をはかりながら、かけがえのない緑豊かな水源地を守り、いきいきと働き 安心して住みつづける事ができるような村へ。さらに水源地の村として、樹、水、人との関わりを身近に体験し、学習できる場を創り、人々の交流を深めていく。そんな個性的で魅力あふれる村を目指しています。』